離婚・別居で子どもを連れていかれた…取り戻す方法と注意点を解説
ある日突然、パートナーが子どもを連れて家を出た。
連絡もつかず、どこにいるかも分からない——。
そんな状況に直面してしまったとき、親としては動揺し、不安や怒りが渦巻くことでしょう。
では、**子どもを一方的に連れて行かれた場合、どのように“取り戻す”ことができるのか?**
本記事では、その法的手段と注意点をわかりやすく解説します。
そもそも「親権」と「監護権」の違いとは?
子どもに関する権利は、「親権」と「監護権」に分かれます。
- 親権:子どもの財産管理や進学・就職などの重要決定に関わる権利
- 監護権:子どもと一緒に暮らし、日常生活を管理する権利
離婚が成立するまでは双方に親権があるため、どちらが連れて行っても「違法」とまではいえません。
しかし、**無断で子どもを連れ去る行為は、のちの親権争いで不利に働く可能性**があります。
子どもを取り戻す方法①:家庭裁判所での「監護者指定」申立て
まず最初に検討すべきは、家庭裁判所に対する「監護者の指定」の申し立てです。
これは「どちらが子どもと暮らすか」を法的に決めてもらう手続きで、特に別居状態で争いがある場合に有効です。
申し立てに必要なもの:
- 監護者指定・子の引渡し申立書
- 戸籍謄本や住民票
- 別居に至った経緯・子どもとの関係性を示す資料
ポイント:子どもの福祉(生活環境、養育態度、教育環境など)が最優先で判断されます。
子どもを取り戻す方法②:子の引渡し請求
もし相手が子どもを返すことを拒否している場合、同時に「子の引渡し請求」も申し立てます。
この請求が認められれば、法的に相手に対して子どもを引き渡すよう命令できます。
さらに、引渡し命令に従わない場合は、「間接強制」や「強制執行」の手続きも視野に入ります。
注意:子どもの意思が尊重される年齢(おおむね10歳以上)になると、強制的な引渡しが困難になる場合もあります。
「連れ去り」を合法にしないためにやっておくべきこと
子どもを取り戻すためには、まずは冷静な証拠集めが大切です。
- LINE・メールなどのやり取りの保存
- 家を出た日時や状況の記録
- 子どもとの関係を示す日常の記録(写真、手紙など)
感情的になって無断で子どもを連れ戻してしまうと、自分が「違法行為」に問われるリスクがあります。
**必ず家庭裁判所を通じた正式な手続きを踏みましょう。**
子どもの意思はどこまで尊重されるのか?
家庭裁判所は「子どもの福祉」を第一に考えますが、子どもの年齢が10歳を超えると、その意思も重視されるようになります。
ただし、DV・虐待・育児放棄などがある場合には、たとえ子どもが相手を選んでも、保護のために介入が行われる可能性があります。
離婚後に親権を得るための準備
監護権の確保は、親権獲得にも大きく影響します。
離婚協議や調停に進む前に、以下のような視点で「親としての適格性」を整理しておきましょう。
- 子どもの生活環境を整えているか(住居、学校など)
- 安定した収入や支援体制があるか
- 子どもとの関係性が深く、日常的に関わってきたか
弁護士への相談も早めに行い、調停・審判に備えたアドバイスを受けておくと安心です。
まとめ|「子どもを守りたい」気持ちを法的に形にする
- 子どもを連れて行かれた場合、家庭裁判所で「監護者指定」と「子の引渡し請求」が可能
- 感情ではなく、冷静な証拠と手続きが結果を左右する
- 子どもの年齢や意思も考慮されるため、話し合いの余地を残すことも大切
- 親権争いに向けて、子どもの生活基盤や環境を整える努力も必要
あなたの「子どもと一緒に暮らしたい」という願いは、決して間違っていません。
だからこそ、法にのっとった正しい方法で、子どもを取り戻す一歩を踏み出しましょう。
コメント